小正月・繭玉飾り

たてもの園では、1月15日より綱島家において、「小正月・繭玉飾り」を
行っています。

小正月とは
1月15日を中心とする前後の期間を、1月1日を「大正月」と言うのに対して、「小正月」といいます。小正月の行事は、農耕に結びついて各地にいろいろなものが残っていますが、豊作を占ったり、鬼追いをやったりと、大正月とは違う特殊な行事が行われていました。また小正月は、お嫁さんが里帰りをしたり、大正月には忙しく立ち働いた女性たちもひと休みすることができるので「女正月」とも言われます。

この小正月の豊作祈願の一つに餅花・繭玉飾りがあります。これは餅や米の粉を団子状に丸めてミズキ、ヌルデ、ヤナギなどの枝に花のように飾りつけ、室内に飾りつけるものです。もともと稲の花を表したのですが、これを綿作地帯では「餅花」、養蚕地帯では「繭玉」と言って、それぞれ綿の実がよくなるように、蚕がよく繭を作るようにと祈ったのです。

たてもの園での繭玉飾りは、小金井市関野町・大堀家に伝わる飾り方で展示しています。関野近辺では、繭玉飾りのことを「めえだま」と呼んでいたそうです。

めえだまの材料
めえだまに使うものは、うるち米の粉、ござ、石臼、樫の木(シラカシ)、ミカンでした。1月13日までには陸稲米を石臼でひいて団子を作る粉の準備を済ませておきます。14日の朝に家の周りから「樫の木」と呼んでいるシラカシの枝を切ってきます。これを神棚の下にござを敷き、その上に置いた石臼の穴に差し立てます。「樫の木」は関野あたりの農家の周りにたくさんあったそうで、その年の恵方から切ってくると良いと言われました。樫の木は普段は薪にして燃料に使う木です。また屋敷林と呼ばれる家の周りの木は防風や茅葺き屋根を飛び火から守る防火林の役目があり、ケヤキや樫の木が多かったそうです。

飾り付け
白い団子の他に、ミカンを枝に刺します。ミカンは重いので木の枝が垂れないようになるべく小振りなものを選びます。
大堀家では白い団子を飾りますが、家によっては食紅で赤い色を団子につけたり、丸い団子だけではなく、細長く作ってなかほどにくびれをつけて繭の形に似せたりしました。関野あたりで「さびまゆ」と呼んでいる二匹の蚕で一つの繭を作ってしまった形(=大きな繭になるので大きな団子にするそうです)のものを作って刺したり、各家で少しずつ違いがありました。

1月15日には、めえだまを片づけます。みかんや団子はおなかの中に、樫の木は燃料にしてしまいます。大堀家では団子は焼いて柔らかくしてからつぶして、しょう油をつけてもう一度焼いて食べていたそうです。14日、15日に行われる「どんと焼き」などと呼ばれる火祭り行事でこの団子をあぶって食べると風邪をひかない、という伝承を持つ地域もあります。

小正月の繭玉飾りは、養蚕農家の減少や生活スタイルの変化、家屋の変化により、目にすること自体少なくなってきた年中行事です。きっとかつての民家の中では、現代の光りに慣れてしまった私たちが感じるよりも明るく、華やいだものであったと思われます。春の訪れ、豊作を予感させる楽しい行事であったと言えるでしょう。

たてもの園では、展示のため1月22日まで飾ります。

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